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2018年09月13日 / ,

これでいいのか?日本の医療            第4話 対症療法に殺されたマイケル・ジャクソン

今回は、対症療法主体になった現代医療の問題点について考えます。

対症療法は、簡単に言うと、下痢をしている人に下痢止め、痛みがあったり熱が高い人に解熱鎮痛剤、血圧が高い人に降圧剤を投与する治療です。下痢は、腸の中に有害なものがあるので、体外にいち早く出そうとする体の反応です。これを止めると有害な物質が体内に残り、病気は長引きます。発熱は、熱に弱いウィルスの増殖を抑え、ウィルスと戦う免疫細胞を活発にする反応です。熱を下げてしまうと、ウィルスとの戦いは長期化します。こんな治療は、無用ですね。

不眠と全身の痛みに悩んだ、マイケル・ジャクソンは、鎮痛剤、睡眠薬などを常用していましたが、処方された薬が徐々に効かなくなり、医療用麻薬などより強い薬が必要となりました。これも効果が無くなると、主治医は、究極の鎮痛、睡眠薬である麻酔導入剤を注射しました。マイケルの呼吸は停止し、そのまま目を覚ますことなく帰らぬ人となりました。対症療法が、如何に恐ろしい結果をもたらすかを教えてくれた、悲しい事件でした。

高血圧の治療薬である降圧剤は、血管を拡張したり、腎臓に働いて循環血液量を減らしたり、心臓の拍出量を落とすことで血圧を下げます。血圧が高くなった根本原因に迫る治療ではありません。ですから、降圧剤を一生飲み続けなければいけません。日本では70才以上の方の半分以上が、降圧剤を服用しています。


このように、対症療法は、一時的に症状が改善しているようにみえますが、結局は病気を根本的に治していません。病気が治らないと、患者さんは通院を繰り返さなければいけません。病院は多忙となり、数時間待って、3分の診察で薬をもらう医療となります。医師も疲弊し、医療はつまらないものになります。こんな医療なら、人工知能が医師に取って代わる事も可能でしょう。待ち時間も少なく、合理的な外来になるかもしれません。

しかし、医療の本質はよりダイナミックで、創造的なものであるはずです。診察の合間に患者さんがお話になる生活や食事の状況、最近の出来事など、ちょっとしたことが、診断や治療のヒントになります。毎日100人以上の患者さんを診察すると自慢される医師に、“ちゃんと患者さんを治さないといけないよ”と話すと、きょとんとされます。患者さんは健康になれば、病院に通う必要がありません。患者さんを病院から解放することが、医師の務めです。ちなみに、私の自慢は、開院以来、1日の受診患者数が100人を超えたことが無いことです。

日本の医療費は、1990年20.6兆円から2010年には37.4兆円に増加しました。この間、入院費用や、外来費用の比率は減っているのに、薬剤費のみが増加しています。医療の質の低下、増加し続ける医療費など、現代医療の問題点の多くが、対症療法主体の医療に起因していることが、おわかりだと思います。

次回は、なぜ、日本の医療が対症療法主体に変わってしまったのかを考えます。
朴澤 孝治

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