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2018年11月17日 / ,

これでいいのか日本の医療?  第13話 危険な現代病、睡眠時無呼吸症候群

前回のブログを読んだ方から、睡眠は何時間とればいいですかと聞かれました。睡眠時間に関して様々な統計がありますが、こと健康に関しては、統計は当てになりません。ナポレオンは3時間の睡眠で十分でしたし、アインシュタインは9時間以上寝る必要がありました。私たちは、遺伝的に雑種で、一人一人異なります。決められた睡眠時間はありません。

睡眠中は、約90分(70〜110分と人により幅があります)間隔でレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されます。レム睡眠は、体は寝ていますが、脳は半覚醒状態で、夢を見る事もあります。ノンレム睡眠は脳も寝る時間で、最初のノンレム睡眠時に成長ホルモンの分泌が起こります。最初のノンレム睡眠を熟睡すると質の高い睡眠になります。ですから睡眠時間は3時間以上で、約90分の倍数がいいと言うことになります。ご自分に合った睡眠時間を見つけて下さい。

この、レム睡眠とノンレム睡眠の周期が壊れる病気があります。睡眠時無呼吸症候群です。睡眠中に、10秒以上続く呼吸停止が、1時間に5回以上あると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。日本人の約2%、300万人が罹患していると考えられていますが、実際に治療を受けている方は40万人しかいません。

睡眠時無呼吸の検査中のビデオを見ると、睡眠中の患者さんの呼吸が止まってじっと動かなくなり、血液中の酸素濃度が正常の100%からどんどん下がって50%をきり、危ない、死んでしまうと思った瞬間、溺れた人が水面に顔を出し大きく息をするように、体全身がビクッと震えて息を吸います。これを寝ている間に何回も繰り返します。朝起きたときが一番疲れているとおっしゃる方もいらっしゃいます。


正常の方と重症の無呼吸の方の検査結果を比べてみましょう。横軸は時間で、夜の12時から朝の5時過ぎまでの呼吸が記録されています。青が、呼吸の状態、茶色がいびきの音、赤が血液中の酸素濃度を示しています。上のグラフに示す正常の方は、呼吸が途切れることなく、いびきも少なく、酸素濃度もほぼ100%を維持しています。下のグラフに示す無呼吸患者さんの場合、呼吸も途切れ途切れで、いびきを休み無くかいています。そして酸素濃度は、乱降下し70%をきってしまっています。

これでは、脳がおちおち寝ていられないので、ノンレム睡眠がなくなります。ホルモン分泌が低下し、夜起こるはずの体のメンテナンスがうまくいきません。自律神経のバランスも大きく崩れてしまいます。自律神経は交感神経と副交感神経のバランスで体調を維持します。睡眠不足の方は副交感神経が低下し、働き過ぎでストレス過多の方は交感神経が低下しますが、睡眠時無呼吸症候群の場合は両方とも極端に低下します。


ご本人は十分な睡眠時間を取っているつもりでも、睡眠の質が最悪のため、様々な体の不調が生じます。めまいや、全身倦怠感、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、不整脈、うつ病、糖尿病などの症状で病院を受診する方もいます。睡眠時無呼吸症候群を治療することで、すべての問題が解決することも多いのです。

睡眠時無呼吸症候群は、太った人の病気と誤解していませんか?扁桃やアデノイドが大きい子供さんや、痩せた方でも下顎が小さく、舌の収まりが悪いと無呼吸になります。ご高齢の方に比べ、30代より若い世代は、顔の横幅が狭くなるかわりに、前後方向に伸び、下顎は、大分小さくなっています。平たい顔族には少なかった、睡眠時無呼吸症候群が増えています

十分に睡眠時間を取っているつもりでも、睡眠の質が悪いと大変です。軽症と重症の睡眠時無呼吸患者さんのグループを9年間フォローした研究では、重症の無呼吸の患者さんが、9年間で30%も多く亡くなったというショッキングな結果が出ています。質の高い睡眠が私たちにとって如何に重要かがわかります。心配な方向けに、以下の質問をご用意しました。15点以上の方は、要注意です。早めに、病院で相談し、質のいい睡眠を心がけましょう。

朴澤 孝治

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