BLOG

2019年03月21日 / , ,

これでいいのか日本の医療  第23話 ホルモンの呪縛から解き放たれて、更年期を楽しく生きましょう

更年期障害は、自律神経失調症と並んで、うつ病と診断される前に、考えなければいけない病気の双璧です。

最近は更年期障害を専門に治療する医師も増えていますが、まだまだ日本は更年期障害を不定愁訴のゴミ箱扱いしているところがあります。患者さんも、更年期障害と診断されると、まるでご自分を責めるように、症状を我慢されます。

生物が種の保存のために生存すると考えると、生殖年齢を過ぎた後も長生きする事は無駄のようにも思えます。ある生物学者は、更年期は、『進化上起こった不測の事態』とし、想定外に長生きするようになった人間の生物学的なエラーだといいます。ひどい話ですね。


閉経後も長生きする生物は、地球上の多くの種の中で、人間と、シャチとゴンドウクジラしかいません。その共通点は、家族で行動する点です。おばあさんシャチが元気だと、孫シャチの生存率が格段に上がることが明らかになっています。そこで、更年期に関する新たな学説『おばあちゃん仮設』が生まれました。女性は長生きすることで、自分の遺伝子を次の世代だけではなく、その次の世代まで確実に伝えるように見守り、種の保存に貢献すると言う考えです。この仮設の方が共感できますね。女性の方には、是非、長生きして、お孫さんの世話をするとともに、ご自分の人生を楽しんで頂きたいものです。


とはいえ、更年期になると、ホットフラッシュ、体がだるい、やる気・意欲がわかない・・・など、病気ではないけれど何となく体の不調を感じます。ホルモンバランスの乱れが原因です。女性ホルモンは、30代をピークに低下していき、様々な体調不良を感じるようになります。


生理の周期によって、女性の体調は変わります。これは、二つの女性ホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)と、黄体ホルモン(プロゲステロン)が規則的に増えたり、減ったりするからです。女性ホルモンは子宮だけでなく、脳を含めた全身の臓器に作用します。ですから、生理が起こるだけでなく、体全体に変化が起こり、生理前にイライラするなど気持ちも変化します。更年期のホルモンのアンバランスが、体全体に症状をもたらすのも当然ですね。

30代は、オプティマルエイジと言って、ホルモンバランスは一生で最もいい状態です。体調が良く、何にでも積極的に挑戦し、毎日を謳歌できます。

40代になると、生理があるのに排卵がなくなることがあり、卵胞ホルモンに対して、黄体ホルモンが低下します。卵胞ホルモンが優勢になると、体重が増えたり、お腹に脂肪がついたり、むくみ、イライラ、慢性疲労、不眠、考えが朦朧とするなど、前更年期の症状が出ます。

そして、50代になり生理が止まると、卵胞ホルモンも低下し、ほてり、寝汗、うつ、膣の渇き、物忘れなどの症状が起こります。

ホルモンに操られることに、もう、うんざりしませんか? ホルモンを味方にすれば、30代のように、もっと健康に美しく生きることも可能です。


最近アメリカでは、加齢や、ストレスによるホルモンの低下に原因した体調不良に対して、天然ホルモンの補充療法が行われ、高い効果が得られています。『セックス・アンド・ザ・シティ』というアメリカのTVドラマを御存知ですか?ニューヨークに住む30代のキャリアウーマン4人の日常生活をテーマに1998年に始まった人気ドラマです。2010年に映画が公開されましたが、開始から13年が経過し、主人公も40代後半となり、更年期症状もテーマになっていました。この映画で、天然ホルモンクリームを使用するシーンが出るくらい、アメリカでは、ホルモン補充療法が一般的になっています。

初潮が始まって以来、毎月の生理、妊娠、出産、授乳、そして更年期と女性の体は、ホルモンによって変化しますが、最も体調がいい時期があったと思います。生理前に、体調が崩れる方が多いと思いますが、排卵の時に体調が悪かったり、妊娠中が最も体調がよかったと言う方もいらっしゃいます。女性ホルモンを作っていた卵巣が、機能を停止することで、更年期が始まります。でも、決して残念なことではありません。むしろ、ホルモンの呪縛から解き放たれて、ご自分で、体調のよかった時のホルモンの状態に設定できるチャンスを手にしているのです。


上の絵は、ルーカス・クラナッハが書いた『若返りの泉』という絵です。病気や年老いた人が左から泉に入ると若返り、右から元気に泉から出ていく情景が描かれています。こんな泉があるといいですね。ホルモンバランス検査 でご自分のホルモンの状況を知り、足りないホルモンを補充すると、若返りの泉と同じ効果を得ることができます。ホルモンの低下を年のせいと諦めると、どんどん老化が進んでしまいますが、ホルモンを補充すると、老化の進行を防ぐことも可能になります。

男性にも、更年期があります。実は男性の方が、事態は深刻です。以前お話しした環境ホルモンは、女性ホルモンの作用があり、生態系で男性性に様々な悪影響が観察されています。お母さんの子宮で生を受けた時、胎児は最初、男にも、女にもなれる状態です。XYの性染色体を持つ胎児は、胎生2ヶ月までに男性ホルモンが大量に分泌され(アンドロゲンシャワー)、この影響で男性となります。このアンドロゲンシャワーが多いほど、生後の様々な男性性が増しますが、薬指が人差し指より長くなることも一つの指標と考えられています。薬指が長い人ほど、年収が多く、スポーツ選手では運動能力が高いという結果が得られています。


主たる男性ホルモンであるテストステロンは、男性性の他、長寿にも関係するホルモンですが、ストレスや加齢で低下します。最近、テストステロンの低下による男性更年期、LOH症候群が注目されています。不安やいらいら、うつ、ほてり、めまい、勃起障害などの症状のほか、内臓脂肪が増え、高血圧、糖尿病、がんなどの病気になりやすくなります。 これもうつ病と間違われる症状ですが、抗うつ剤を飲んでも症状は改善しません。ホルモン検査を受ければ、診断は簡単で、ホルモン補充療法で、男性更年期症状も改善します。

ラジオを聴きながら受験勉強していた45年前、城達也のジェットストリームが終わる時間に決まって流れるCMのフレーズが、未だに耳に残っています。

暗いと不平を言うより、進んで灯りをつけましょう。

朴澤 孝治

Copyright © 2019 統合メディカルケアセンター Tree of Life, All Right Reserved.