2025年11月27日 / YouTube, ● 院長の部屋
■ 粘膜は体を守る最前線
ケガをしたとき、皮膚を消毒して絆創膏を貼るように、
私たちの体の内側にも外敵の侵入を防ぐ「バリア」があります。
それが「粘膜」です。
皮膚の表面積が約1.8平方メートルに対し、
腸に広がる粘膜の面積はその200倍にも及びます。
つまり、私たちの体を守っている最大の防御ラインが、
この“見えない内側の皮膚=粘膜”なのです。
腸の粘膜はおよそ3〜5日で新しい細胞に生まれ変わります。
その再生には栄養とエネルギーが必要で、
実は便の約3分の1は、古くなった粘膜の細胞が剥がれ落ちたものです。
それほど、腸粘膜は日々活発に働き、
私たちの免疫の約7割が腸に集中している理由でもあります。
■ 粘膜が壊れるとどうなる?
腸の粘膜細胞の間は
「タイトジャンクション」と呼ばれる接合部でしっかり結ばれ、
異物の侵入を防いでいます。
しかし、食生活の乱れやストレス、睡眠不足などでこの接合が緩むと、
「リーキーガット症候群(腸漏れ)」が起こります。
すると、未消化のタンパク質や有害物質が体内に入り込み、
腹部の張りや痛み ・慢性疲労や倦怠感 ・不安感や気分の落ち込み ・
原因不明の皮膚炎や関節痛 といった、さまざまな不調が現れることがあります。
最近では、こうした腸のバリア破綻に関連して
「遅延型食物アレルギー」が注目されています。
花粉症のようにすぐ反応するのではなく、
食後数日してから症状が出るため、原因に気づきにくいのが特徴です。
実際に、小麦に含まれる「グルテン」がタイトジャンクションを緩めることがあり、
ラーメン・うどん・パン・ケーキなどを控えるだけで
体調が改善する方もいらっしゃいます。
ご飯(お米)を主食にする、3週間ほどの“グルテンオフ”を試すのも一つの方法です。
■ 粘膜を壊す生活習慣
粘膜を弱らせる要因として、次のようなものがあります。
脂っこい食事・食べ過ぎ
食品添加物の多い加工食品
アルコールやカフェインの摂りすぎ
不規則な生活、睡眠不足
強いストレスやデジタル過多(スマホ・PCの長時間使用)
これらは交感神経を過剰に高め、血流や粘膜の再生を妨げてしまいます。
ストレス社会の中では、意識して「副交感神経」を高める時間をつくることが大切です。
■ 粘膜を修復する食べ物と栄養素
腸の粘膜は、日々の食事でしっかり修復・再生できます。
おすすめの食材をいくつか紹介します。
⭕️鶏むね肉・卵・納豆・オクラ・長芋 →
ムチンやグルタミンが豊富で、粘膜細胞のエネルギー源になります。
⭕️カラフルな野菜・果物 →
植物が自分を守るために作る抗酸化成分「ファイトケミカル」が、
炎症を抑え粘膜を守ります。
(例:トマトのリコピン、ニンジンのβカロテン、ブロッコリーのスルフォラファンなど)
⭕️発酵食品・食物繊維 →
腸内の善玉菌を増やし、短鎖脂肪酸を産生。
これが腸粘膜の重要なエネルギー源になります。
味噌、納豆、ヨーグルト、ぬか漬け、海藻、きのこ、野菜類などが理想的です。
サプリメントでは、グルタミンやリコピンなどが粘膜修復のサポートに役立ちます。
ただし、食事の改善が基本です。サプリはあくまで“補助”として使いましょう。
■ 粘膜を守る生活のポイント
腸を元気に保つには、食事だけでなく生活リズムも重要です。
以下の2つを意識してみましょう。
1. 深呼吸や瞑想で副交感神経を高める
ゆっくりとした呼吸は、腸の血流を改善し、粘膜の再生を促します。
40度ほどのぬるま湯にゆったり浸かることも、副交感神経を高めます。
2. 寝る前のスマホを控える
ブルーライトは交感神経を刺激し、睡眠の質を下げます。
“デジタルデトックス”の時間を少しだけでも設けましょう。
■ おわりに
粘膜は、体の「見えない守り神」です。
外から入るウイルスや細菌、有害物質を防ぎ、同時に免疫のバランスを保っています。
腸の粘膜が整うと、肌の調子が良くなったり、
心が落ち着いたり、睡眠が深くなるなど、全身の調子も自然と整います。
「腸をいたわる=自分をいたわる」
今日から少しずつ、腸と粘膜を大切にする生活を始めてみてください。
院長
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