2026年03月23日 / YouTube, ● 院長の部屋
この冬は感染症が大きく流行しました。
コロナに加え、2月から3月にかけてはインフルエンザB型も広がり、
体調を崩された方も多かったのではないでしょうか。
高熱が出て体がだるく、
「とにかく布団で温かくして寝るしかない」
という経験をされた方もいらっしゃると思います。
しかし、ここで少し考えてみてください。
風邪をひいたときの睡眠は、普段の睡眠とは明らかに違いませんか?
ぐっすりと深く眠り、翌日には思った以上に体が軽くなっている。
あの眠りを、私は「回復睡眠」と呼んでいます。
今回は、この回復睡眠とは何か、
そして風邪をひかなくてもその状態を意図的に作り出す方法についてお話しします。
普段の睡眠の仕組み
私たちの睡眠はホルモンによってコントロールされています。
朝になると副腎からコルチゾールが分泌され、血糖値が上がり、活動モードになります。
夜になるとメラトニンが分泌され、眠気が訪れます。
通常の睡眠でも体のメンテナンスは行われていますが、
風邪のときの睡眠はそれとは質が異なります。
風邪のとき、体の中で何が起こるか
ウイルスや細菌が体に侵入すると、
免疫細胞が活性化し、炎症性サイトカインという物質が分泌されます。
この炎症性サイトカインは、実は脳にも作用し、深いノンレム睡眠を強く誘導します。
その結果、
成長ホルモンが大量に分泌される
免疫細胞の修復が進む
筋肉や組織のダメージが修復される
疲労物質が除去される
といった現象が起こります。
さらに、脳内ではアデノシンという物質が蓄積し、強い睡眠圧を生み出します。
深い睡眠中には神経細胞の間に隙間ができ、
脳脊髄液が流れ込み、老廃物が洗い流されます。
これはグリンパティックシステムと呼ばれる重要な浄化機構です。
また、夜間にはミトコンドリアも修復モードに入り、エネルギー産生能力が回復します。
つまり、回復睡眠とは、
免疫・ホルモン・脳・ミトコンドリアが総動員される
「全身再起動モード」
なのです。
風邪をひかなくても回復睡眠は作れる
では、この深い回復モードを、健康な状態でも作り出すことはできるのでしょうか。
答えは「可能」です。
ポイントは3つあります。
① 軽い炎症刺激を与える
風邪のときは炎症がスイッチになります。
それを安全に再現する方法が、
軽い筋トレ(スクワット、腕立てなど)
少し筋肉痛が出る程度の運動
サウナや温熱刺激
です。
適度な刺激は炎症性サイトカインを適切に分泌させ、深い睡眠を誘導します。
② 自律神経を切り替える
現代人は交感神経優位になりがちです。
回復睡眠には副交感神経への切り替えが不可欠です。
そのために有効なのが、
夕食後の軽いストレッチ
深呼吸
40℃前後の入浴(就寝1〜2時間前)
寝る3時間前までに夕食を済ませる
です。
入浴で一度深部体温を上げ、
その後深部体温が下がるタイミングで布団に入ると、深い眠りに入りやすくなります。
③ デジタル日没を実行する
寝る2時間前からスマートフォンやPCを控える「デジタル日没」を行いましょう。
ブルーライトはメラトニン分泌を抑制し、コルチゾールを下げにくくします。
また、カフェインはアデノシンの働きをブロックし、睡眠圧を感じにくくします。
コーヒーは午後2時までに済ませましょう。
腸内環境も重要
回復睡眠には腸内環境も関与します。
発酵食品(納豆、味噌、ヨーグルト)
水溶性食物繊維
脂っこい食事や過度な糖質、飲酒を避ける
腸内で作られる短鎖脂肪酸は免疫と代謝を整え、睡眠の質向上にも寄与します。
朝のリセットも忘れずに
起床後は太陽の光を浴び、白湯を飲み、軽くストレッチをする。
これにより体内時計が整い、次の夜の回復睡眠につながります。
まとめ
風邪のときに体験するあの深い眠り。
あれは偶然ではなく、体が意図的に作り出す「修復プログラム」です。
疲れが取れない
朝がだるい
ストレスで眠れない
そう感じる方は、ぜひ回復睡眠の条件を整えてみてください。
睡眠は単なる休息ではありません。
それは、体を根本から立て直す医療そのものです。
回復睡眠を味方につけ、日常をより健やかに過ごしていきましょう。
院長
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