2022年12月23日 / ーYouTube, ▶︎【 院長の部屋 】
新型コロナウィルスの第8波の流行が続いています。 武漢から始まった最初の頃のウィルスや デルタ株といった変異株では、 肺炎を起こし、重症化することが多く、 味が分からなくなったり、匂いがしなくなることも特徴的な症状でした。 コロナウィルスは、味や、匂いの神経自体には感染せず、 神経を支える支持細胞に感染して、 障害を起こします。 ですから、感染が治ると、比較的早く、 1週間前後で、味や匂いが戻ることが多いのです。 ところが、ロングコロナといって、 コロナの発熱や喉の痛みなどの急性症状が改善した後も、 4週間以上、咳や倦怠感などの症状が慢性的に続くことがあります。 ロングコロナの症状に、味覚障害と嗅覚障害も含まれていて、 これまでと違う味や匂いがしたり、いつも嫌な味や匂いがする、 異臭症、異味症があると、 神経にまで、ウィルスの障害が及んだ可能性があり、 回復が遅くなります。 最近、流行しているオミクロン株は、感染力は強くなったものの、 重症化の頻度は減っています。 オミクロン株では、味や匂いがわからなくなる症状も減っています。 そして、ロングコロナの発症も減っています。 特に入院が不要で、自宅療養で改善した方は、 味覚障害、嗅覚障害、ロングコロナの発症は ほとんどないと言っても良いでしょう。 ところが、コロナにかかった後、 味が分からない、匂いがしないと言って受診される患者さんがいます。 匂いがわからないという患者様を診察すると、 実際には、匂いの神経の障害ではなく、 鼻の粘膜が腫れて、匂いの通り道、嗅裂が狭くなったことで、 症状が出ている方がほとんどでした。 匂いを感じる部分は、脳の近く、 鼻の一番上の奥にあります。 ここに匂いの物質が届かないと、 神経が大丈夫でも、匂いがわかりません。 コロナの感染で、元々あった、副鼻腔炎、蓄膿症が悪化したり、 アレルギー性鼻炎があると、嗅裂が狭くなります。 蓄膿症や、アレルギーを治療し、匂いの通り道を拡げると、 匂いが戻ります。 味を感じるには、亜鉛、鉄、ビタミンB1、B12が必要です。 コロナの隔離期間に、食生活のバランスが崩れると、 もともと、ミネラルやビタミンが低下していた方では、 さらにバランスが崩れ、味が分からなくなります。 特に、亜鉛は味を感じるのに、大切ですが、 免疫の面でも、重要な働きをしています。 血液中の亜鉛の濃度が低いと、免疫力が低下し、 コロナにかかりやすいことがわかっています。 コロナにかかった方は、 元々亜鉛が少なかった可能性があります。 この場合は、コロナの療養期間に、 亜鉛がさらに低下することで、味が分からなくなります。 実際、コロナにかかった後に、 味が分からなくなった方の、血液検査をすると 亜鉛が少ないことが多くみられます。 不足している亜鉛や、ビタミンを補充することで、 味がわかるようになります。 コロナの流行の最初の頃のイメージで、 コロナにかかると、味や匂いがわからなくなると 思っていらっしゃる方も多いと思いますが、 オミクロン株にかかった後の味覚障害、嗅覚障害は、 ちゃんと検査して、治療すると回復します。 あまり、心配しないで、専門医にご相談ください。 院長
<動画の内容>
● オミクロン株と嗅覚・味覚障害の関係
● 嗅覚障害の原因と治療法
● 味覚障害の原因と治療法
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