統合メディカルケアセンター「Tree of Life」

2024年10月25日 / , ,

正しい牛乳との付き合い方

 

 

牛乳は、日本で1年に1200万トンも消費されています。
栄養価も高く、学校給食でも提供されています。
一方、牛乳を飲むと、健康に良くないと主張される方もいて、
牛乳とどう付き合ったら良いか、迷われる方もいらっしゃると思います。

 

 

牛乳は、水87.4%、炭水化物4.8%、タンパク質3.3%、脂質3.8%、
その他ビタミン、ミネラルなど0.7%と栄養のバランスがとてもいいです。
ビタミンは、A、B1、B2、B12、C、Eが豊富で、
ミネラルもカルシウム、マグネシウムなどを多く含んでいます。

 

日本の牛乳には、ホルモンや抗生物質などの混入はなく、
安心して飲むことが出来ます。
90%は超高温瞬間殺菌で、病原体を除外していますが、
この方法では、栄養素の消失も最小限であることが確認されています。

 

 

牛乳に含まれるタンパク質は80%がカゼイン、20%がホエイです。
カゼインは消化吸収がゆっくりで、スロープロテインと呼ばれ、
カルシウムの吸収をよくしたり、血圧を下げたり、

血栓を予防する効果があります。

一方、ホエイは、消化吸収が早くファストプロテインと呼ばれ、
プロテインサプリの原料となっています。
私たちが作ることが出来ない9種類の必須アミノ酸を全て含んでいて、
特に筋肉を維持、強化するロイシンを多く含んでいます。

 

その他、細菌が増えるのを防いだり、免疫力を強くしたり、
腸内細菌の善玉菌を増やしたり、鉄の吸収を助けたり、
骨を強くするMBPも含んでいます。
牛乳のタンパク質は、バランスが良く、
しかも吸収されて身体の成分になる効率がとても高いので、
タンパク質の食材としてとても優れています。

 

 

牛乳を飲む事で、健康に大きなメリットが得られます。
骨の強化により、骨折や骨粗鬆症の予防が出来ますし、
歯の健康にも役立ちます。
高血圧、糖尿病、高脂血症など生活習慣病を予防するほか、
脳卒中、認知症の予防効果も明らかになりました。

 

子供さんの健やかな成長に必要ですし、
腸内環境を改善するので、免疫力も向上します。
筋力が強化されるので、
お年寄りで、筋肉が少なくなり体力が低下する
フレイルを防ぐことが可能です。

 

このように、牛乳のメリットは大きいのですが、
確かにデメリットもあります。

 

 

一つは、牛乳の炭水化物の99.8%を占める乳糖を分解する
ラクターゼが足りない方に起こる乳糖不耐症です。
牛乳を飲んでから20分〜2時間で、
下痢や、腹痛、お腹がゴロゴロする、
もたれる、ガスがたまる等の症状が起こります。

 

人を含めた哺乳類は、赤ちゃんを母乳で育てますが、
成長するとお乳以外の食物を食べるようになります。
乳糖を分解するラクターゼは不要となるので、
大人では、乳児の十分の一まで減少します。

 

日本の成人の90%は、ラクターゼが少ないのですが、
牛乳200mlでしたら、消化吸収する事ができ、
腸内細菌も分解を助けてくれます。
牛乳を少しずつ、温めて飲むと
乳糖不耐症の症状を避けることが出来ます。

 

 

乳糖不耐症の症状と似た症状を起こす物に、
牛乳アレルギーがあります。
牛乳のタンパク質、カゼインやラクトフェリンに対する食物アレルギーです。
小麦や、卵と並んで日本人に多いアレルギーですが、
乳幼児期に発症し、70%は6才までに自然に治ります。
症状が強いときは、牛乳を飲まないことが治療になります。

 

 

牛乳アレルギーはIgEというタンパク質による、即時型アレルギーですが、
IgGによる遅延型食物アレルギーもあります。
食べてから数日経って症状が出るので、慢性の症状となり、
アレルギーと気付かないことが多いです。

 

下痢などの消化器症状、頭痛、めまい、喘息、
慢性蕁麻疹など様々な症状の原因となります。
日本人では、遅延型食物アレルギーを起こす食材で多いのが、
牛乳と卵です。

 

血液検査をすると、ご自分が遅延型食物アレルギーがあるかがわかり、
原因の食物を3〜6ヶ月食べないと、慢性の症状が改善します。
よく食べる好物にアレルギーのことがありますが、
6ヶ月食べるのを我慢すると、また食べることができるようになります。

 

不規則な生活や、ストレス、過度な飲酒、小麦のグルテンなどによって、
腸の粘膜のバリアーが壊れると、有害な物質が体内に漏れ出てしまい、
慢性の体調不良や、沢山の食材に遅延型食物アレルギーを起こしてしまう、
リーキーガット症候群が発症します。
牛乳のカゼインも消化が遅いので、
リーキーガット症候群になってしまった時は、
改善するまで、控えた方が良いです。

 

 

乳糖不耐症、牛乳アレルギー、遅延型食物アレルギー、
リーキーガット症候群の方は、牛乳を飲むときに、注意が必要ですが、
それ以外の方は、牛乳を安心して飲むことができます。
ただし、抗生剤、骨粗鬆症の薬、下剤の酸化マグネシウムを飲む時は、
牛乳を飲む時と2時間は間を空けてください。

 

牛乳は大変栄養のバランスが良い食材で、様々な年代で必要な食材です。
飲み過ぎるとカロリー過多になってしまいますし、
乳糖不耐症も心配ですので、
1日コップ一杯200mlを目安に飲まれるのがいいと思います。

 

院長

 

YouTube解説はこちら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チャンネル登録よろしくお願いします^^

 

 

 

 

最新記事

カテゴリ

アーカイブ