統合メディカルケアセンター「Tree of Life」

2025年12月12日 / ,

腸内細菌を育てて「体の土台」を整える ― 通過菌と長期滞在菌の話

 

 

 

これまで腸の動きを良くする方法や腸粘膜の守り方をお伝えしてきましたが、

今回は腸活の中心ともいえる「腸内細菌」についてのお話です。

 

 

私たちの腸には、約100兆個・1.5kgもの腸内細菌が住んでいます。

赤ちゃんは無菌状態で生まれ、

成長とともに食べ物や環境を通して菌が入り、腸内に定着していきます。

 

細菌には、私たちを助けてくれる善玉菌、

悪さをする悪玉菌、そして状況によって働きが変わる日和見菌が存在し、

健康な腸では善玉2:悪玉1:日和見7ほどのバランスが保たれています。

 

 

ここで大切なのが「通過菌」と「長期滞在菌」という2つの分類です。
通過菌 は数日で腸を通り抜け、便とともに外に出ていく菌。

ヨーグルトの乳酸菌や納豆菌など、食事から毎日補給することで働きます。

 

 

一方、長期滞在菌 は大腸に定着し、何年も住みつきながら、

粘膜の保護や免疫調整、短鎖脂肪酸の産生など、健康維持に欠かせない働きを担います。

代表的なものはビフィズス菌や酪酸産生菌、バクテロイデスなどです。

 

小腸は約6〜7mと長く、通過速度も速いため、細菌が住みつきにくい環境です。

ここでは通過菌が主役。

一方、大腸は流れがゆっくりで、長期滞在菌が落ち着いて暮らせる構造になっています。

高齢になるとビフィズス菌などの長期滞在菌が減り、

悪玉菌が増えてしまうため、意識的に育てることが重要です。

 

 

通過菌を補給するには発酵食品が基本。
ヨーグルト、味噌、醤油、ぬか漬け、キムチ、

納豆、コンブチャなど少量でよいので毎日摂ることがポイントです。

通過菌は定着しないため、食べない日が続くとすぐに減ってしまいます。

 

 

一方、長期滞在菌を育てるには“エサ”が必要です。

・水溶性食物繊維(オートミール、海藻、玉ねぎ、大麦、りんご)
・オリゴ糖(大豆、バナナ、蜂蜜、ごぼう)
・レジスタントスターチ(冷やご飯、冷やし芋、冷やし麺)
・ファイトケミカル(カラフルな野菜や果物)

これらは腸粘膜を守り、善玉菌の住みやすい環境を整えてくれます。

 

 

逆に、悪玉菌を増やす食事 は控えめに。

揚げ物などの高脂肪食、砂糖の多い食品、小麦中心の食事、

アルコールのとり過ぎ、人工甘味料などは腸の炎症やガス・悪臭の原因になります。

また、抗生剤や胃酸を抑える薬を長期で使用すると腸内細菌が乱れやすく、注意が必要です。

 

 

 

 

腸活がうまくいっているかを確認するセルフチェックも大切です。

・バナナ型でにおいの少ない便
・毎朝すっきり排便できる
・おならやゲップが少ない
・食後のお腹の張りがない
・肌の調子が良い

こうしたサインがそろっていれば腸は良い状態です。

 

反対に、便秘、下痢、ガス、甘いものがやめられない、

疲れやすいといった症状は腸活が乱れているサインです。

 

 

腸は体の基盤。

通過菌を毎日補給し、長期滞在菌を育てる――この二本柱が腸活の必須ポイントです。

食物繊維・オリゴ糖・レジスタントスターチ・ファイトケミカルを意識し、

発酵食品で通過菌を補う。

 

これを続けることで腸内の多様性が高まり、

免疫力や代謝、メンタルの安定にもつながります。

 

次回は、腸活をしているのにお腹が張ってしまう

「小腸内細菌増殖(SIBO)」についてお話しします。

どうぞお楽しみに。

 

院長

 

 

 

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