統合メディカルケアセンター「Tree of Life」

2014年06月05日 / 

ホリスティック医学シンポジウム2014 in 仙台を終えて

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青葉茂れる定禅寺通り 東京エレクトロンホール宮城にて、5月31日〜6月1日 日本ホリステック医学協会北日本支部主催の『ホリステック医学シンポジウム2014 in 仙台』が開催されました。参加いただいた方、誠にありがとうございました!
テーマが、生き方を問われる深い内容で参加された方々にホリステック医療の種を蒔くことが出来たと思っております。
今回は、「こころ・からだ・いのちの再生」~東北の復興とホリステック医療の未来~というテーマで、震災から3年が経過して、私たちがより厳しくなる社会環境の中で、ホリステック=全体のつながりの中で個々が在り、健やかに混沌とする現代を生き抜く智恵となる医療とは・・・を、協会会長の帯津良一先生、北海道から西谷雅史先生、宮城県から上原忍先生、そして当クリニック院長 朴澤孝治先生をお迎えしての「医」・生き方への情熱のある取り組みを講演していただきました。先生方の人に寄りそう医療への熱い思いに胸を打たれました!
また、対談は「ホリステックな暮らしと医療を実現するために」福島在住の安珠さんと当クリニック院長がありました。

そもそも『ホリステック』とはどういう意味なのでしょうか?

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ホリスティック(Holistic)という言葉は、ギリシャ語で「全体性」を意味する「ホロス(holos)」を語源としています。 そこから派生した言葉には、whole(全体)、heal(癒す)、health(健康)、holy(聖なる)…などがあり、健康-health-という言葉自体が、もともと「全体」に根ざしています。
ホリスティックの字義は、もともと「ホーリズム(holism)的な」という形容詞として生まれた、一般に「全体論」と訳されている哲学用語ですが、これは、ジャン・クリスチャン・スマッツという思想家が、1926年に発表した「ホーリズムと進化(Holism and Evolution)」という著作の中で、初めて使った造語です。
ホーリズムとは、「全体とは部分の総和以上のなにかである」という表現に代表される還元主義に対立する考え方で、臓器や細胞などといった部分に分けて研究し、それを総合したとしても、人間全体をとらえることはできない。 現実の基本的有機体である全体は、それを構成する部分の総和よりも存在価値があるという理論であり、同時に、一固体は孤立に存在するのではなく、それをとりまく環境すべてと繋がっていると考え方です。

(NPO法人 日本ホリステック医学協会より)
以下に内容を簡単にまとめて皆様にシェアさせていただきます♪

【帯津良一先生】帯津三敬病院名誉院長
東京大学医学部卒業。医学博士。東京大学医学部第三外科、都立駒込病院外科医長などを経て、1982年、埼玉県川越市に帯津三敬病院を設立。西洋医学に中国医学や代替療法を取り入れ、医療の東西融合という新機軸を基に、がん患者などの治療に当たる。人間をまるごと捉えるホリスティック医学の第一人者として、日本ホリスティック医学協会会長、日本ホメオパシー医学会理事長なども務める。
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 人間の一生は、生まれてから死へと向かう間に年代ごとに様々なチャレンジが伴う。そして60代以降が人生の華の時期、健やかに生きていくには、生命の躍動感(トキメキ)のチャンスを逃さぬようにと。
アンリ・ベルクソンやダーウィンの哲学から影響を受け、ホリステック医学とは「場の医学」であると提唱している。「場」の医学は、人間は臓器の集合体だけではなく、目に見えないこころ・いのちの全体でなりたっている。そしてその人の住む家、町、都市、国、地球、宇宙と階層化されているものである。全体性の医療である。
人は何故治るのか・・・
1,西洋医学
2.「場」の医学(補完代替医療)により自然治癒力をアップする
3.治療家と患者さんのコミュニケーションであると。
人は、たとえ癒され(病を)治されても、やがては死を迎えるもの。最後の最後に、その人がその人の人生を、その人らしく全うするようにサポートするものそれが医療である。癒すとか治すということでなく、互いに寄り添い合う行為、それが医療である。つまり治療者と患者さんの関係性が大事だということ。
ドイツの医療従事者のための緩和ケアの本に先生は感銘を受けたとのことです。
それは、患者さんの生命を深めるために大切なことは、気づく ー わかる ー 守る。
「気づく」は 相手の訴えに気づくということ。「わかる」は 原因を究明するということ。「守る」は その人の尊厳を守るということ。
人間の尊厳をサポートするのが医療であると優しく、寄りそう大切さを著名な作家(遠藤周作、養老孟司など)のお話を散りばめながらの講演でした。
【朴澤孝治先生】朴澤耳鼻咽喉科/統合医療センターTree of Life院長
東北大学病院臨床教授/日本気管食道科学会評議員/日本ホメオパシー学会医師部会長/日本ホリステック医学協会北日本支部理事
米国ハーバード大学留学中の基礎研究成果、東北大学病院助教授、仙台社会保険病院院長補佐など長年にわたる臨床経験をもとに広く耳鼻咽喉科一般の診療を行う。 専門は、滲出性中耳炎、難聴、めまい、嗄声、痙攣性発声障害、嚥下障害、睡眠時無呼吸症候群,アレルギー性鼻炎、味覚・嗅覚障害に対する機能改善。
2011年2月に朴澤耳鼻咽喉科を開院。同時に、耳鳴に対するTRT療法などの新しい治療、漢方、ホメオパシーなどの補完医療も症例に応じて採用する統合医療センターを設立。それぞれの治療法の効果や限界を正しく認識し、患者さんに最適な治療を提供することを目標している。また、いくつかの治療法を提示し利点と欠点を客観的に告知し、可能であれば患者さんが自身が選択できるような診療を目指している。

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統合医療の重要性を感じるようになった総合病院の医師時代の体験から、2011年2月開業、その後震災による未曾有の状況の中で不安やストレスから来る症状を抱えたたくさんの患者さんたちが来院。特に震災後、私たちの毎日は仕事、人間関係、加齢・将来の不安、過労・睡眠不足、経済への不安などストレスフルである。その原因とストレスを抑圧すると自らの感情に鈍感になる(アレキシサイミア;失感情症)→さらには症状をカラダで感じられなくなるアレキシソミア(失体感症)、カラダに症状として出ると治療はできるが、心の苦しみは原因不明と言われるのが実情である。特に震災後の自律神経のバランスを崩す方が多く、ホメオパシーが元気玉として有効であった報告、自律神経のメカニズム、自律神経測定器による検査をすすめ、現代医学で治療ができない部分へ補う医療として補完代替医療を提唱している。西洋医学とホリステック医療の違い、医薬品の供給が止まったことによる健康障害とその後被災地に必要な医薬品として多くの糖尿病治療薬、高脂血症治療薬、解熱鎮痛剤、消毒薬などの他大量の抗不安薬が輸送された実情についての報告。震災を経験したからこそ、混沌とした社会情勢の昨今、未来に向けて自らを癒す、自らをケアするホリステック医療/予防医学としてセルフケアの重要性を語る。セルフケア講座の内容としてホメオパシーや鍼灸やヨーガ、呼吸法、バッチフラワーレメディなどの特色について紹介。ホリステック医療を選択するときのポイント、統合医療が既に大学の医学部で教えられている欧米の状況を解説。最後にホリステック医療に必要なのは、治療家の横の繋がり、知識、技術により患者さんとの信頼関係のもとで一人一人に寄り添う医療であると。病気と未病、病気には西洋医学とそれを補う補完代替医療を、未病にはセルフケアとして補完代替医療を取り入れることをすすめている。
【西谷雅史先生】響きの杜クリニック院長(札幌市)
北海道大学医学部卒業、医学博士、日本産科婦人科学会認定医、日本東洋医学学会専門医、日本ホメオパシー医学会認定医、元札幌厚生病院産婦人科主任部長、ホロトロピック・ネットワーク札幌代表、西野塾札幌同好会代表、玄心流日本拳法師範。
更年期障害の治療にかかわる中で「気」の世界に興味を持ち、太極拳、西野流呼吸法を実践し「気」の存在を確信、人間の自己治癒能力に働きかける代替医療を現代医療に取り入れた統合医療を行うクリニックを開院。一方、札幌厚生病院で1500例以上の手術の執刀経験を生かして女性にやさしい手術を心がけている。

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幼少時代に野口英世に憧れ、ホリステック医学を始めるきっかけになった体験談から、気を整えたクリニック内の建築、また西洋医学にホリステック医療を取り入れた内容;漢方、フラワーエッセンス、呼吸法、気功、断食などの紹介、患者さんが目指す治療を寄り添いながら、患者さん目線で行っている。患者さんの末期、死に寄りそう経験から治療にも死生観が大切であると。ホリステック医療は、呼吸など自分自身の毎日の積み重ねが衣食住と同じように大切であると。
【上原忍先生】鳥の海歯科医院院長(宮城県亘理町)
東北大学歯学部卒業、東北大学大学院歯学研究科 博士課程卒業、岩沼歯科医師会顧問、宮城県保険医協会理事
日本歯内療法学会理事・専門医、(特非)日本顎咬合学会会員(指導医)、日本ヘルスケア歯科研究会会員、日本ホリスティック医学研究会会員、日本歯科東洋医学会会員、東北矯正歯学会会員、(社)日本口腔外科学会会員、日本全身咬合学会会員他
幅広い診療を心掛けて日々研鑽し、また、東洋医学や代替医療にも関心を持ち、診療に取り入れて、包括的全人的診療を目指しております。これからの医療は、人を全体で見て行く、ホリスティックな医療が求められています。従来の歯科は、特に局所の治療にとらわれて、全身で診ることが少なく、全身と切り離された医療を展開してきました。しかし、たとえば、噛み合わせの治療を進めていくと肩こりや頭痛などの全身症状の改善が見られたりします。歯科医療の未来形への一助として、人に優しい統合医療をめざしています。

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20年程、ホリステックな考え方を取り入れ、診療に応用。その過程で気診、ヘミシンクの出会いがあり死生観・人間観・身体観が大きく変化していきました。3.11 クリニックにいる時に津波を体験し、死を間近にした時のお話、そして再生にむけての活動、同じ土地でクリニックを再開したプロセスについてをお話になりました。医療にスピリチャリズムを取り入れ、それは身体観などとも関連しているということ、震災体験でよりスピリチャリズムがより進展した感覚をお話になりました。
【安珠さん】Earth Spiral リトリートルーム主宰
2009年11月に磐梯朝日国立公園にある裏磐梯(福島県)に移住し、自然とともに生きる暮らしづくりを始めたところに2011年3月の原発事故が起きる。放射能汚染により、生きる拠り所となる土台が崩壊する中、ポスト311の生き方を模索すべく対話の場をつくり、2012年より敷地の古い家屋を地域のコミュニティスペースとして再生させる「こびっとハウスプロジェクト」をスタート。2013年は、こびっとハウスで様々なワークショップを企画中。震災後に明確になってきた世界の矛盾を超えて、ひとりひとりが活き活きと生きられる新しい世界の創造を目指して活動中。
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東京でアロマテラピスト、ボディワーカーとして精神科や心療内科でもアロマテラピーを提供するようになり、赤坂溜池クリニックで代替療法家たちとチーム医療に関わってこられました。2006年頃からはホリスティックな暮らしをめざしパーマカルチャーを学ぶようになり、持続可能なコミュニティづくりや暮らしの中でのセルフケア意識の向上などのWSを開催する活動も始めました。
2009年に磐梯山に呼ばれて裏磐梯に移住。自然と共生する暮らしを福島でスタート。2011年東日本大震災が起こり暗闇に放り込まれたような感覚で1年を過ごす。そして裏磐梯に生きることを選択し、パーマカルチャーの学びや自然と触れ合うワークショップやコピットハウスというセルフビルドのスペースで語り合いやプロセスワークという心理療法の場をオーガナイズを行っています。人と自然との共生、その場に生きる人との繋がり、ホリステックなアプローチでワークショップなどを開催しています。
【対談:ホリステックな暮らしと医療を実現するために】安珠×朴澤孝治
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震災は、「私たちはどう生きるか?」を考えさせられる機会になりました。
全てのライフラインは断ち切れ、食料、水、ガス・・・そして薬剤もなくなってしまい、そこで「自分の身は自分で守る」という意識が痛切に私たちに芽生えました。震災直後は、あれほど直接経験したことが、ライフラインも正常化した昨今、震災後の真摯な意識はすたれ、日々の生活に追われてしまっています。また、震災直後から現場でケアにあたってきた人たちが3年を経過して、すり切れ茫然自失している状況であるとのことです。
ある時は災害を起こす、ある時は四季折々の美しさを奏でる自然と私たちはどのようにして共存していったらいいのでしょうか?
あの時の悲しかった、辛かった思いを胸に抑え込んでいる人は多いと思われます。涙を流す時に流す機会もないまま過ごされている方も多いと思います。健康に関しても、薬で維持されていた健康は、大きな災害があると薬が手に入らなくなることもあります。そうなると私たちはどうなっていくのでしょうか?
健康の定義は人により異なりますが、自分のこころやいのちをないがしろにせず、きちんと向き合う時間が必要です。また、自分の状態を観察する視点も必要になってきています。西洋医学を否定することなく、上手にホリステック医療を生活に取り入れて、心身の健やかさを保つ大切さを対談しました。
また、世界での代替医療の現状、チーム医療として治療家は一人で抱え込まないで、患者様のためにも、治療家自身のためにも横の繋がり 治療家と施術者の支え合うネットワークが重要になってくるという話でしめくくりました。
【ブース展示~被災地に生きる わたしたちにできること】
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統合医療センターTree of Lifeでは、自律神経測定器による自律神経のバランスを測定、6月より始まりました放射線治療によるリンパ浮腫ケアのご紹介をさせていただきました。
その他 バッチフラワー・プラクティショナーグループ、クリスタルボウル&ホリスティックセラピーHoly Whole、東北臨床美術 りぼん、オイリュトミー療法士ネットワーク仙台、Earath Spiral、日本ホリスティック医学協会ブース展示がありました。
2日目の朝には帯津先生、西谷先生による気功のレクチャーもありました☆
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※詳細は、クリスタルボウル&ホリスティックセラピーHoly Whole主宰 遠藤園子さんがわかりやすくまとめてくださっています。また内容を一部引用させていただいております。こちらをご覧ください→ ホリスティック医学シンポジウム2014 in 仙台 その3
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復興に向けて、健やかな健康はお薬に依存することだけではなく(もちろんお薬が必要な方もいらっしゃいます)、ご自身で健やかさを保つ、ケアしてご自身の自然治癒力を上げていくとより治療効果も高いのではないでしょうか。
震災後、食に関する意識が高まりつつある昨今、こころ・からだ・いのちへはあまり意識が向いていないように思えます。おいしくいただくためにはおいしいと感じるからだを、しあわせだと感じるこころを、そして生命の源であるいのちへ意識を向けることはとても大切なことだと思います。

震災を体験した東北に、ホリステック医療の輪が広がっていくことを私たちは祈っています。

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※今回講演いただいた先生方がTOLにお越しになりました。

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