2017年10月02日 / ▶︎【 院長の部屋 】
めまいを感じると不安になりますよね。どの科を受診したらいいか、迷われる方も多いと思います。
今回は、めまいについてお話ししましょう。
私たちは、目からの視覚情報と、三半規管と耳石器官で感じる耳の情報、皮膚や筋肉、関節で感じる深部知覚情報の3つの感覚を、脳が総合的に判断して体のバランスを保っています。
座って体を右側に倒してみましょう。物が左上に移動します。これが視覚情報です。そして、右側のお尻に重力を感じ、体の右半身の筋肉が緊張し体を支えようとします。これが深部知覚です。三半規管の感覚は、わかりにくいですね。遊園地に行って絶叫マシーンに乗ると三半規管や耳石器官をありとあらゆる方法で刺激されるのを感じることができます。
私たちは、この3つの感覚のうちどれか2つが機能していれば、ちゃんとバランスをとることができます。目や深部知覚が急に機能低下することはないので、めまいの原因は、耳か脳ということになります。めまいがして眼科に行くのは、誤りです。
それではめまいがした時、原因が耳なのか脳なのかどのように判断したらいいでしょうか?
遊園地で、コーヒーカップに乗ると、降りたあとも周りが回っているように感じます。これは、三半規管が刺激されたためです。耳が原因のめまいは、グルグる回る回転性のことが多いです。国分町で、お酒を飲みすぎると、フラフラ千鳥足になります。アルコールで脳の機能が低下したためです。脳が原因のめまいは、フラフラ感のめまいが多いです。このほか、めまいとともにおこる症状によっても区別が可能です。
脳が原因の時は、頭痛がしたり、体の麻痺やろれつが回らないなどの神経の症状が出ることがあります。耳が原因の時は、耳痛や、耳鳴、難聴、自閉感、悪心嘔吐を伴うことがあります。このような症状によって、耳鼻咽喉科を受診するか、脳神経科を受診するか判断されるといいでしょう。
脳神経科でMRIなどの検査をしても異常がない時は、血圧、不整脈、血糖値などの異常により、脳の血液循環が一時的に異常となってめまいが生じた可能性があり、この時は一般内科での受診が必要になります。いずれにせよ、めまいがしてどの科を受診したらいいか迷った時は、耳鼻咽喉科を受診するのがいいでしょう。耳鼻咽喉科以外のめまいの時は適切な専門家医を紹介してもらえるでしょう。
文:院長 朴澤孝治