統合メディカルケアセンター「Tree of Life」

2025年12月19日 / ,

過敏性腸症候群の影に潜む、腸活して悪化する?意外な落とし穴“SIBO”とは

 

 

小腸内細菌異常増殖症(SIBO)とは?

 

―腸の動き・胃酸・ストレスがつくる“見えない不調”を読み解く―

 

「腸活をしているのに、なぜかお腹の調子が悪化する」。
そんな方に隠れているのが、小腸内細菌異常増殖症――いわゆる SIBO(シーボ) です。

腸を整える取り組みをしても改善しない、むしろ悪化する場合は、

このSIBOが深く関わっている可能性があります。

 

小腸と大腸は「細菌の量」がまったく違う

 

 

まず理解したいのは、 小腸は本来ほとんど細菌がいない場所 だということです。
長さ6~7メートルある小腸は、胃酸・胆汁・膵液などの消化液が豊富で、

食べ物の消化吸収がメインの仕事。

動きも速いため、菌は定着せず「通過菌」が中心です。

 

一方、1.5~2メートルの大腸は動きがゆっくりしており、

ビフィズス菌などの長期滞在菌が100兆個以上住み着いています。

腸内細菌の主戦場は大腸であり、小腸ではありません。

 

ところが、さまざまな理由で 大腸の菌が小腸へ逆流 したり、

胃酸の低下で 口腔内の菌が生きたまま小腸へ流れ込む と、

小腸の中で細菌が増殖してしまいます。これがSIBOです。

 

SIBOが起こると何が起こるのか?

 

 

小腸で菌が増えると、食後に食べ物が 異常発酵 を起こし始めます。

その結果、以下のような症状が現れます。

 

  • 食後の強いお腹の張り
  • 下痢と便秘を繰り返す
  • ガス・おなら・ゲップ
  • 体臭の変化
  • 胸焼け、胃の不快感

 

さらに怖いのは、発生したガスや毒素が神経系にも作用すること。

 

 

  • 倦怠感
  • ブレインフォグ(頭がぼんやりする)
  • 集中力低下
  • 肌荒れやニキビ
  • 鉄・ビタミン不足、体重減少

 

これらはすべて、腸での“異常発酵”が引き起こす全身症状です。

過敏性腸症候群(IBS)と症状がよく似ており、

両者は深い関連があることも分かっています。

 

腸活で悪化するのはなぜ?

 

「乳酸菌を飲むと悪化する」「食物繊維でお腹が張る」
こうした反応はSIBOにとても特徴的です。

 

小腸にすでに菌が過剰にいるのに、

発酵の材料となる食物繊維を増やし、善玉菌を入れることで、

結果として 小腸内の菌がさらに増殖してしまう のです。

 

逆に、扁桃炎などで抗生剤を飲むと一時的に調子が良くなることがあります。

これは小腸にいる異常増殖した菌が一時的に減るためです。

 

SIBOの原因 「動き」×「胃酸」×「粘膜」

 

 

SIBOの背景には複数の要因が絡み合っています。

 

1. 小腸の動きの低下

 

小腸は本来、空腹時に強力な波動(MMC)が起こり、残渣や細菌を大腸へ運び出します。

しかし…

 

 

  • 間食が多い
  • 食べ過ぎ・早食い
  • 運動不足
  • ストレスで交感神経が優位
  • 糖尿病・甲状腺機能低下
  • 加齢

 

 

これらがあると小腸の動きが停滞し、菌が留まりやすくなります。

 

2. 胃酸の低下

 

胃酸は細菌を殺す最初の砦です。ところが…

 

 

  • PPI(胃酸を抑える薬)の長期使用
  • 萎縮性胃炎
  • 加齢
  • 甘い物・小麦・アルコールの摂りすぎ

 

 

これらは胃酸を低下させ、口腔の菌さえ小腸に届いてしまいます。

 

3. 回盲弁の機能低下

 

大腸から小腸へ菌が逆流しないようにする“弁”が弱ると、
大腸の菌が小腸に流れ込み、増殖します。

 

SIBO3つのタイプに分かれる

 

 

増える菌によって、発生するガスが異なります。

 

  1. 水素型(下痢型)
    大腸菌・腸球菌が関与。無臭のガス。食後の眠気・集中力低下も。

 

  1. メタン型(便秘型)
    メタン産生菌が関与。腸の動きを強く抑えるため便秘が悪化。

 

  1. 硫化水素型(腹痛・悪臭ガス型)
    卵の腐ったにおいのガス。毒性が強く、頭痛・強い疲労感が出やすい。

 

 

タイプによって治療法も異なるため、分類はとても重要です。

 

診断は症状からも推測可能

 

 

呼気テスト(水素・メタン測定)が一般的ですが、

 

 

  • 腸活で悪化
  • 抗生剤で一時的に改善
  • 食後の強い張り
  • IBSとの重なり

 

これらが揃う場合、症状からでもSIBOを十分疑うことができます。

 

治療のポイント

 

治療は「菌を減らす+小腸の環境を整える」の両輪です。

 

抗生剤

 

ただし、タイプにより有効薬が全く異なります。
特にメタン産生菌は抗生剤が効きにくく、副作用の問題もあります。

 

 

食事療法

 

  • 砂糖・小麦・玉ねぎ・加工食品を控える
  • 間食を避け、空腹時間をつくる
  • ゆっくりよく噛む
  • 食べ過ぎない

 

生活習慣

 

  • ストレス管理
  • 良質な睡眠
  • 軽い運動
  • 胃酸抑制薬の乱用を避ける

 

近年注目される「ハーブ療法」

 

最近大きく注目されているのが、抗菌作用と腸内環境改善の両方を持つハーブ療法 です。

 

ハーブは細菌だけでなく、カンジダなどの真菌にも作用し、

小腸の動きや粘膜も整えるため、

抗生剤と同等、あるいはそれ以上の効果を示すケースがあります。

 

IBSの方にとっても、非常に期待できる自然療法として世界的に広まりつつあります。

 

 

次回予告:SIBO×ハーブ療法の専門対談

 

次回は、オーストラリアのナチュロパス・自然療法家である ナミさん をゲストに迎え、
SIBOに対するハーブ療法の実際について、詳しく対談形式でお届けします。

 

「どのハーブがどのタイプに効くのか」

「どのように改善していくのか」

 

興味深い話がたくさん伺える予定です。ぜひご期待ください。

 

院長

 

 

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