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2018年11月10日 / ,

これでいいのか日本の医療?  第12話 現代社会で質のよい睡眠をとるために必要なこと

今回から、私たちの健康に影響する環境因子のお話をします。まず、最初に睡眠について、考えましょう。私たちは、1日の1/3近くを睡眠時間に充てています。寝ているので余り意識しないと思いますが、この睡眠が、健康維持にとても大切です。

 

2017年のノーベル医学賞は、サーカディアンリズム(概日リズム)を司る時計遺伝子の機能を明らかにした3人の博士に授与されました。

 

24時間で1回転する地球上で生活する他の動植物同様、私たち人間も、体内時計が有り、24時間のリズムで、睡眠と覚醒を初めとする様々な生物現象を繰り返しています。日中は、活動に必要な糖代謝が高まり、夜は、成長ホルモンや、プロラクチンが分泌され、ストレスの解消や、日中酷使した肉体や脳のメンテナンスがおこなわれます。

 

睡眠と覚醒は、二つのホルモン、メラトニンと、コルチゾールのバランスでコントロールされています朝、太陽を浴びると、副腎からコルチゾールが分泌されます。コルチゾールは糖代謝を高め、昼の活動のエネルギーを確保すると同時に、ストレスからからだを守ってくれています。


暗くなると、コルチゾールの分泌は減少し、脳の松果体でセロトニンから、メラトニンが産生されます。メラトニンは、入眠と睡眠の維持を行う一方、老化の原因となる活性酸素の処理もしてくれます。そして、朝陽を浴びるとメラトニンの分泌が抑えられ、コルチゾールの分泌が再び高まります。

 

このサーカディアンリズムが崩れると、集中力を欠いたり、肌が荒れたり、疲れがとれなかったり、様々な体調不良の原因となります。現代は、インターネットの発達で、グローバリゼーションが進み、昼夜の区別が付きにくくなり、それにあわせるように、24時間営業のコンビニなどもできて、サーカディアンリズムを維持するのが難しくなっています。

ストレスが多いと、夜もコルチゾールの分泌が続き、眠れなくなります。ストレスを避け、夜は交感神経の緊張を緩めましょう。夜遅くまで、テレビやパソコン、スマホ、ゲームをしているとブルーライトを浴びて、メラトニンの分泌が低下します。食事、入浴は、就寝2時間以上前にすませ、夜のカフェイン、喫煙も避け、寝るときは寝室をできるだけ暗くしましょう。朝は、太陽の光を一杯浴びましょう。休みの日も、寝坊は避け、毎日のリズムを保ちましょう。サーカディアンリズムを保つ生活を心がかることが大切です。

 

さて、メラトニンは、子供の頃に分泌が最も高くなりますが、成長とともに、どんどん分泌が減っていきます。メラトニンが少ないお年寄りは睡眠時間が短く、朝早いですね。


日本人の成人の約30%は、睡眠障害に悩んでいます。2017年の流行語に『睡眠負債』が選ばれたほどです。50才以上の方の6%、65才以上では9.4%の方が睡眠薬を常用しています。世界保健機構WHOでは、睡眠薬の適正使用は30日以内としています。ところが、日本では睡眠薬の80%はベンゾジアゼピン系が処方され、長期に投与されていることが多いのが現状です。この薬は脳の神経活動を全体的に落とすことで眠りやすくします。長期服用で依存症となり、離脱が難しくなり、転倒、ふらつき、アルツハイマー型認知症発症のリスクなどの副作用があります。

 

若い頃は、メラトニンで眠っていたのに、年を取ったら、なぜ睡眠薬で眠らなければいけないのでしょうか? 少なくなったメラトニンを補充して眠った方が自然だと思いませんか?

 

海外ではメラトニンがドラッグ・ストアで、睡眠補助薬や、時差ボケの薬として売られています。日本では、ホルモン系のサプリメントは販売禁止です。ドーピングなど、危険なホルモンの使用は、あってはなりませんが、加齢により減少したホルモンを補充する治療は、超高齢社会を健康に生きるために必要です。

 

日本はホルモン過敏症から脱して、安全なホルモン補充薬の確保と、医師の再教育を行い、危険で不要な薬を排除し、より自然な医療を行う環境を整えるべきです。繰り返しになりますが、目に見える症状に対症的に対応する医療より、大元の原因に働きかける医療の方が、安全で効果的です。

 

朴澤 孝治

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