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2019年02月28日 / ,

これでいいのか日本の医療?   第21話 本当にうつ病なんですか?隠れた病気の原因を探して、精神的な健康を取り戻しましょう


世界保健機構(WHO)は、以下のように健康を定義しています。

健康とは、病気でないとか、虚弱でないと言うことではなく、肉体的にも、精神的にも、社会的にも、すべてが満たされた状態にあることを言う。


これまで、快食、快眠、快便に関わる環境因子についてお話ししてきましたが、精神的な要因も、忘れてはなりません。残念ながら、2017年の日本人の年代別の死因を見ると、10才から44才までの死因の第1位は、自殺です。とても悲しい事実です。WHOは、自殺の主要因はうつ病であるとし、うつに苦しむ人が全世界人口の4%を超えながら、その多くは正しい診断や適切な治療を受けられていないと指摘し、早急な対策の必要性を強調しています。


日本でも、うつ病の患者数は右肩上がりで増えています。うつ病の治療の主体は抗うつ剤、睡眠剤、抗不安薬などの向精神薬で、その消費量はうなぎ登りです。医療機関が処方する向精神薬のうち、患者様1人に処方される1日の睡眠薬の量が05~09年の4年間で3割増えたことが、厚生労働省研究班による過去最大規模の約30万人への調査で分かりました。 処方された患者様の約3割が4年後も服用を続け、このうち薬が減っていない人は約7割に上ります。 日本では、向精神薬が年間18億錠消費されており、世界でも群を抜いています。


うつ病は、脳内のセロトニンという『幸せホルモン』が減少することで発症するという考えから、抗うつ剤は脳内のセロトニンを増やすように働きます。この増やし方が、大変問題です。セロトニンは神経から分泌され、他の神経の受容体に結合することで作用を発揮します。このとき、分泌されたのに受容体に結合しなかった、余ったセロトニンを神経細胞は取り込んで、再利用します。抗うつ剤は、この再取り込みをブロックし、一時的に脳内のセロトニンを増加させ、幸せな気分にします。しかし、少し考えれば、すぐわかることですが、エコロジーを止めると、神経はセロトニンを十分に作る事ができなくなり、ついには深刻なセロトニン欠乏が引き起こされます。


健康な人に抗うつ剤を投与すると、焦燥感、不安が強くなり、自殺傾向を示すようになります。うつ病と診断された方のうち、抗うつ剤による治療を継続的に受けた方と、治療を受けなかった方を18年間継続して比較したところ、抗うつ剤を服用した方のほうが3倍自殺を含め死亡率が高かったという報告があります。WHOは、向精神薬の使用は、1ヶ月以内であれば有用だが、1ヶ月を超えて使用するメリットはないと提言しています。厚労省も、向精神薬の多剤投与を是正する施策を平成26年から開始しました。薬以外の方法で、セロトニンを増やす事を考えるべきでしょう。


なんか最近、体調が悪いと感じて、かかりつけの診療所を受診したとします。簡単な、問診と検査を受けて、「異常ありませんから、様子を見ましょう」と言われます。「よかった、大丈夫だった」と安心しますが、やはり体調が優れません。そこで、より大きな病院を受診し、心電図や、レントゲン写真、血液検査など詳しい検査を受けてみます。ここでも、異常がでません。「不定愁訴ですね、心配ありませんよ」と言われます。それでも、体調が優れないと、今度は、総合病院を受診し、MRIなど更に詳しい検査を受ける事になります。ここでも異常がでないと、「更年期障害または自律神経失調症ですね」などと言われ、精神科や心療内科を紹介されます。最初のクリニックで「精神科を紹介しましょう」と言われたら、お医者さんとけんかになるかも知れませんが、流石にここまで来ると、素直に精神科を受診します。結果は明らかで、うつ病と診断されて、薬漬けです。問題は解決しません。


うつ病とはそもそも、何でしょう?うつ病の診断は、アメリカ精神医学会が2013年に作成した、診断マニュアルDSM−5に基づいて行われます。少し長くなりますが、その概略を示します。

うつ病(大うつ病性障害)の診断基準(DSM-5)
以下のA〜Eをすべて満たす必要がある。

A:以下の症状のうち5つ以上が2週間存在し、機能変化を起している; 1または2を含むこと
1.抑うつ気分
2.興味、喜びの喪失
3.体重減少または増加、食欲減退または増加
4.不眠または睡眠過多
5.精神運動性の焦燥または制止
6.易疲労性、または気力の減退
7.無価値観、または罪責感
8.思考力や集中力の減退、または決断困難
9.自殺念慮、自殺企図

B:症状により臨床的、社会的に機能障害を引き起こしている

C:抑うつエピソードが、物質や他の医学的疾患によるものではない

D:抑うつエピソードが、他の精神疾患によるものではない

E:異常なまでに気分が高揚したり、開放的になったりすることはない


Aには、うつ病の症状が記載されています。Bでは,その症状により、身体的、精神的、社会的な障害が引き起こされていることが確認され、C〜Eで、身体的、精神的な他の疾患が原因となっていないことを確認しています。大変明確で、わかりやすい基準です。問題は、Cにおいて、現在の病院の検査では、うつ症状を引き起こす病気を見つけることができないことです。うつ症状の原因となるはっきりとした病気があり、その治療法もあるのに、見過ごされ、うつ病とされてしまっている患者様が多いことは、実に残念です。

うつ病と診断され、抗うつ剤を何年も服用しても、症状はむしろ悪化し、ベッドから起きられなくなり、毎日泣いていた方が、当院で、検査を受け、正しい診断のもと、治療を受けることで、たった3ヶ月で元の生活を取り戻したと言うことは奇跡ではなく、ごく普通にあることです。もちろんすべての向精神薬をやめることもできています。

精神的な症状でも、対症的な薬に頼る治療よりも、病気の大元の原因を探り、その治療を行う事で、根本治療は可能です。次回以降、病院では診断できない、うつ症状を引き起こす現代病をご紹介します。


朴澤 孝治


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